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掲載日:2022.09.30
経済学部では、「経済統計学Ⅱ」(担当教員:鈴木雄大准教授)の履修者を中心とした本学学生を対象に、特別講演会を実施しました。富山中央法律事務所の西山貞義弁護士をお招きして、「政策判断・経営判断の「基礎」「経済統計」の重要性~きわめて不正確、恣意的な「生活扶助相当CPI」を題材に~」というタイトルで講演していただきました。
講演では、政策判断・経営判断をする際に根拠とされる「(経済)統計」は「正確に」、「客観的に」作成されることの重要性を、生活扶助相当CPIを例に、「生活保護基準引下げ違憲訴訟」に関わる弁護士という立場からお話いただきました。
生活保護基準引下げ訴訟は、「生活扶助相当CPI」という、厚生労働省が専門家に諮ることなく独自に作成した指標を用いた「デフレ調整」によって生活扶助基準を引き下げたことに対して、引下げの取消しを求めて全国29都道府県で争われている裁判です。
講演では、この「生活扶助相当CPI」の多くの問題点のうち、「生活保護世帯の生活実態」に関わる問題点について、分かりやすくお話しいただきました。西山先生はこの厚労省の独自指標を「全く、「正確」でもなければ、「客観的」でもなかった」として、統計の不適切な利用の例として取り上げ、経済統計が「正確に」、「客観的に」作成されることの重要性を強調されました。
また、北海道での取組みとして、道生連(北海道生活と健康を守る連合会)の細川氏、札幌における同裁判の原告副団長の吉田氏からもお話をいただきました。
学生は、普段あまり接することのない、生活保護の問題や統計と裁判との関係についての講演を、興味深く聞いていました。
講師の西山貞義氏(富山中央法律事務所、生活保護基準引下げ違憲訴訟富山弁護団事務局長)
北海道生活と健康を守る連合会、細川久美子氏
左から、講師の西山貞義弁護士、細川久美子氏(道生連副会長)、吉田弦一氏(新人間裁判原告副団長)、西博和弁護士(西博和法律事務所、生活保護基準引下げ違憲訴訟札幌弁護団)