柾木 貴之

柾木 貴之マサキ タカユキ

MASAKI Takayuki
経済学科
准教授

取得学位 博士(学術)(東京大学)
担当科目 英語リーディング
専門分野 言語教育(英語教育、国語教育)
研究テーマ 英語教育と国語教育の連携
教育・研究への
取り組み
 私は「英語教育と国語教育の連携」を研究テーマとしています。これまで英語と国語は全く別の教科とみなされてきましたが、今後、両者を関連させ、連携させることができれば、言語教育全体で大きな効果を挙げることが可能になるのではないかと考えています。
 効果として想定される事柄は二つあります。
 一つは「言語能力の向上」です。教科としての英語と国語は現状でも言語能力を育成していますが、「連携」の授業では、日本語と英語の知識・技能をつなげ、相互に関連した知識・技能の体系を築くことを目指します。そうすることで、国語で習ったことが英語学習の土台となり、英語で学習したことが日本語の運用に活きるという形で、両者に相乗効果が生まれることが期待できます。
 もう一つは「複数の言語・文化に対する相対的な視座の獲得」です。現在の教育では、国語授業に外国語が出てくることはほとんどなく、英語授業では母語ですら極力排除することが推奨されています。国際化がますます加速していく今日において、言語・文化の多様性に対する寛容な態度を育てる機会は重要であり、「連携」はその一手段となり得るものです。
 このような仮説の下、これから力を注ぎたいと考えているのが、教材とカリキュラムの開発です。これまですでに10以上の学校が「連携」の実践を行っていますが、未だ研究は十分とは言えません。とくに「連携」の授業で用いる教材と、それを計画的に実施するためのカリキュラムの作成は急務となっています。今後は「連携」を行いたいと考えている全国の先生方と協力して、各学校に合った教材とカリキュラムを開発した上で、「連携」の効果について検証していきます。
 「英語教育と国語教育の連携」というテーマについて研究するために、私は英語と国語、両方の教員免許を取得し、2019年度までは大学の英語教員と高校の国語教員を務めていました。2020年度からは主に英語授業を通して、英語・英語文化への理解が高まるよう努めますが、同時に、国語教員の経験を活かして、日本語・日本文化への理解も深まるよう意図した授業を行います。
 「英語リーディング」ではエッセイ、小説、スピーチ、レクチャー、ドキュメンタリー、映画、洋楽、絵本など、様々な英文を教材としながら、総合的な英語力の向上を目指します。一方、「英語文化演習」では「翻訳」という活動を通して、英語の理解を深めながら、その背景にある文化・社会・歴史について考えていきます。
おすすめの作品 ①秋田喜代美・斎藤兆史・藤江康彦(編)(2019)『メタ言語能力を育てる文法授業―英語科と国語科の連携』ひつじ書房
②鳥飼玖美子・苅谷夏子・苅谷剛彦(2019)『ことばの教育を問いなおす―国語・英語の現在と未来』筑摩書房
③菅井三実(2012)『英語を通して学ぶ日本語のツボ』開拓社